恒例となっている米紙ニューヨーク・タイムズ…


 恒例となっている米紙ニューヨーク・タイムズの世界の観光地ランキング2019年版に、日本で唯一「瀬戸内海の島々」が選ばれた(7位)。

 3年に1度、瀬戸内海の12の島を舞台に開催される現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」を紹介し、自転車や水陸両用機での島巡りを提案している。東京のベンチャー企業「ALE(エール)」が来春、この地域で人工流れ星を発生させるイベントを開くことも取り上げている。

 それらを「日本の内海にある芸術と自然の調和」として評価。海外紙の選択だけに新鮮な感動を覚える。1位にはカリブ海の米自治領プエルトリコ、2位はインド南部の村ハンピ、3位は米カリフォルニア州の都市サンタバーバラが選ばれた。

 瀬戸内海には外周が0・1㌔以上の島が727あるが、1980~90年代に本州と四国を結ぶ複数の連絡橋が開通し、島々の連携が密になった。香川県の直島には「地中美術館」がある。

 景観を損なわないように建物の大半が地下に埋設されたが、地下でありながら自然光が降り注ぐ構造となっている。手掛けたのは建築家・安藤忠雄氏。コンクリート、鉄、ガラス、木を使用し、デザインを極限まで切り詰めて設計された。

 一昨年、安藤氏に話を聞いたが、20代で世界一周し、赤道直下の空の美しさに感動。その美しさを創出できる建築家を目指したという。その一つの成果がここにあり、独自の空間を楽しめる。