某新聞社ニュースサイトに、人工知能(AI)…
某新聞社ニュースサイトに、人工知能(AI)研究者に「弁護士業は、真っ先にAIに取って代わられる職業だ」と言われたというベテラン弁護士の話が出ていた。この弁護士は「機械(AI)は人間を慰められない(から弁護士廃業はない)」と反論している。
冗談半分の話だろうが、今年の司法試験結果を見ると笑って済ませられない。5238人の受験生に対し、合格者は1525人。法科大学院修了生の受験が始まった2006年以降、受験生、合格者ともに最も少なかった。
一時は合格者が2000人を超えていたから、下世話に言えば「往年の弁護士人気はいずこに」ということになろう。「平成の法曹改革」と言われ、多様な人材確保を目指し創設された法科大学院だが、入学者数が定員に満たず閉鎖する大学が続出している。
00年前後、法令違反などの企業スキャンダルが続発した。コンプライアンス(法令順守)が厳しく言われ、企業防衛のために法律顧問が重宝されたが、その要請も一段落した。
経済のグローバル化が進行し、知的財産権関係、労働関係など専門的知見を持つ弁護士の必要性も強調されたが、今のところそれほど需要がない。むしろ大都市圏では弁護士余りが指摘されている。
「企業の顧問になるため奔走するのに比べると、司法試験に合格することなんてずいぶん楽だった」とは、ある新米弁護士の嘆き。わが国の司法文化の在り方を再チェックする時ではないか。