数字や数値の疑わしい報道が多くなった。…
数字や数値の疑わしい報道が多くなった。こうした問題はもともと多かったのが、最近になって問題視される機会が増えただけかもしれない。
何かの集会などで、主催者発表が5万人という場合がある。ところが、警察発表は1万人だったりする。実に5倍の違いがある。本当の数字はどちらなのか。
ただ、報道の多くは、なぜか主催者発表に従う。最近は警察発表を明記しないことも多い。主催者が発表する数字はどうやって出てきたものなのか、そこのところは分からない。一方、警察発表は、一定の面積にどれだけの密度で人がいるか計算したものを積み上げているから、それなりの根拠はある。実数をある程度反映しているだろう。
何万人という数字は報道されるが、主催者がその根拠に言及することはない。戦時中の「大本営発表」のいいかげんさはしばしば指摘されるが、5倍もの違いはさすがにない。
数字の根拠が分からないので、水増ししているともいないとも言い切れない。それでも、主催者側の発表が正確ではなさそうだということは以前から言われてきた。
データの改竄(かいざん)はいけないが、データ不在のまま発表するのはそれ以前の話だ。アクシデントがあった場合に備える意味でも、主催者には、集会に集まった人数を正確に把握、発表する責任がある。役所や企業に正確さが求められるのと同様、政治団体を含むどんな組織であれ、数字は等しく正確なものであってほしい。