首都大学東京の名称が2020年4月、かつての…
首都大学東京の名称が2020年4月、かつての「東京都立大学」に変更される。いったん変わった大学名が元に戻るという話はあまり聞いたことがない。結局、首都大学東京という名称は定着しなかった。
都民の声を聞いた上で当時の石原慎太郎知事が決定したものだ。斬新な名称であることは間違いない。「××大学」で終わるのが普通の中、「東京」という地名で終わる大学名は確かに珍しい。半面、大学の実体を必ずしも十分に反映しているとは言えなかった。
東京都立大学が単純明快だったのと比べると、首都大学東京は「首都である東京の大学」というインパクトの少ないものになっている。そもそも東京には大学が多いから「東京の一大学」として埋没してしまいがちで「都立の大学」という性格がアイマイになってしまう。関係者からも「知名度が下がった」という不満の声が上がっていた。
加えて都立大は、大学としての力量が高かった。首都大学東京となってしまった結果、都立大との連続関係が見えにくくなった。再改名は自然な流れと思われる。
石原都政下の都立大改革はおおむね成功を収めた。例外が大学名だった。これまで実質的な業績を上げているとは言えない小池百合子知事が、大学名を元に戻す選択をしたということだろう。
大学名と実体との間の距離感を少しでも解消するという面では、元に戻すことは時代の流れに沿ったものだと言えそうだ。