振り袖の販売・レンタル業「はれのひ」…


 振り袖の販売・レンタル業「はれのひ」(横浜市)=破産=の元社長、篠崎洋一郎容疑者(55)が詐欺容疑で逮捕された。新成人を対象に新規契約を取り続けていたが、今年の成人の日を前に営業を突然取りやめたため、成人式に晴れ着を着られない被害者が続出した。

 篠崎容疑者は1月の記者会見で「被害者に個別に謝罪しなきゃいけないと思う」と述べたが、6月の債権者集会にも出席せず、その後謝罪もなく姿を隠していた。一昨日米国から帰ったところを逮捕された。

 これに対し、2年後に成人式を迎える大学2年の長女(19)のため、昨年2月、はれのひから振り袖を40万円で購入していた横浜市の男性(53)からは「式の数年前に入金する契約の仕組みに無理がある」という指摘も。

 わが国の多くの企業経営者は「売り手よし、買い手よし、世間よし」を掲げ、儲(もう)け一辺倒では企業存続を果たせないことを承知している。帝国データバンクの集計によれば、日本に創業100年を超える長寿企業は約2万5000社ある。

 ドイツや英国などの100年企業の数を圧してダントツの世界一だ。この中には地方のいわゆる老舗企業も少なくなく、伝統を守るための日々の努力は半端なものではない。

 企業活動を通じ、おもてなし、謙虚さ、品格ある所作など、日本文化のパッケージをどんどん海外に出していく時代だ。晴れ着文化を逆手にとった企業の不正はいかにも苦々しい。