1950年6月25日に始まった朝鮮戦争は半島…
1950年6月25日に始まった朝鮮戦争は半島全土を戦場と化し、3年後に国連軍と中朝連合軍との間で休戦協定が結ばれたが、まだ終わったわけではない。3世代にもわたって続いている。
この戦争がいかに苛烈であったか、38年も前に、当時在日米軍司令部で報道連絡事務所長をしていたロバート・グリーンさんから伺ったことがある。太平洋戦争、朝鮮戦争、ベトナム戦争と戦い抜いた老兵だった。
朝鮮戦争では機関銃分隊長、中隊斥候長、狙撃隊長を経験し、285人いた隊員のうち生き残ったのは5人だけだったという。ベトナム戦争の体験は『地獄から還った男』(原書房)という本にまとめられた。
ケサン地区の南881高地で昼夜砲弾とロケット弾を雨のように浴びた。が、不思議なことに、戦場で戦死することはないという信念を抱いていた。それがどんな根拠によるものか、関心をそそった。
彼の先祖は米国独立戦争当時、ワシントン将軍の直属の部下だった人物。ルター派の信仰が篤く、愛国心の強い家柄で、独立戦争も、体験した三つの戦争も共通していたのは自由のための戦いだったということ。
そのキリスト教精神は即、戦闘精神であり、戦場で死ぬことはないという信念を形成していた。北朝鮮は最後まで残った共産主義国で、無神論的世界観の上に成り立っている。一方、米国は有神論的世界観に基づいて築かれた国。戦争終結にはこの問題が関わっている。