海上自衛隊や米軍が参加して行われる「環太平洋…
海上自衛隊や米軍が参加して行われる「環太平洋合同演習(リムパック)」に、今夏は中国を招待しないと米国防総省が発表した。中国の南シナ海軍事拠点化に対する強い警告であり、当然の措置だろう。
中国は最近も南沙(英語名スプラトリー)諸島の人工島に対艦ミサイルや電波妨害機器を配備し、西沙(パラセル)諸島では戦略爆撃機の離着陸訓練を行っている。国防総省のローガン報道官は「緊張を高め、地域を不安定化させるだけだ」と強く非難した。
人工島の埋め立てや建設工事が明らかになった時、習近平国家主席は「軍事拠点化しない」と表明した。しかしその舌の根も乾かぬうちに、サラミスライス戦術で米国の反応を探りながら着々と軍事拠点化を進めてきた。国際社会の関心が北朝鮮の核・ミサイル問題に向いているのも中国には幸いした。
中国のリムパック初参加は2014年。当時のオバマ米政権の狙いは、中国に国際ルールの順守を促すことだった。
しかし、南シナ海の中国の領有権を否定したオランダ・ハーグの仲裁裁判所の判決も全く無視したような国に何が期待できるだろう。14年の演習では情報収集艦を展開させ、参加国間の通信を傍受していた。
南シナ海は、日本のシーレーン(海上交通路)防衛や台湾問題だけでなく、米中の太平洋戦略、ひいては世界の覇権争いの鍵を握る。「航行の自由作戦」など自由主義国は軍事的なプレゼンスを強化していくべきだ。