「雨二滴日は照りかへす麦の秋」(高浜虚子)…
「雨二滴日は照りかへす麦の秋」(高浜虚子)。俳句の季語は「春」や「秋」という語があっても、その季節のものではない場合がある。例えば、「小春」というのは春ではなく、11月ごろの冬の季語で、春のような暖かさがある日を指す。
「麦の秋」も今ごろの初夏の季語。稲畑汀子編『ホトトギス新歳時記』には「他の穀物が秋に黄熟するのに対し、麦は初夏黄色に熟するのでこの季節を麦秋と呼ぶ」とある。つくづく日本語は難しい。
麦は黄色になって、辺りが新緑なので絵画的な美しさがあるとも解説されている。稲田も青々としているから、麦と見事に対比される。その水田にかつては、水中生物や昆虫が多くすみついていた。
特にドジョウは、水田であればどこでも見られた。そのドジョウも農薬などの影響で、今や高級魚に近い扱い。環境省はこのほど、絶滅危惧(きぐ)種に準ずる生物としてドジョウを指定した。
ドジョウまで将来絶滅する恐れがあるのかと驚かされる。泥の中でも生きるたくましさがあるドジョウでも、やはり生息地域が少なくなっているのだろう。
外来生物に脅かされている在来種の問題もあるが、環境汚染も深刻である。改めて、自然の保全、環境の整備の大切さを思わされた。その環境汚染問題にいち早く取り組み、警鐘を鳴らしたのが、米国の生物学者で著書『沈黙の春』で知られるレイチェル・カーソンである。彼女の誕生日は1907年のきょうだ。