福島県いわき市で開かれた日本と18の太平洋…
福島県いわき市で開かれた日本と18の太平洋島嶼(とうしょ)国・地域による首脳会議「太平洋・島サミット」。北朝鮮に拉致・核・ミサイルといった懸案の解決を要求する首脳宣言を採択した。
昨年来、島嶼国・地域の間には、北朝鮮のミサイルが自国に届くことへの警戒感が広がっている。危機感を共有し、団結を固める時宜にかなった会議となった。
参加したオーストラリア、ニュージーランドを除き、パプアニューギニア以外の島嶼国は数十万から数千の人口で構成されている。だが、これらの島嶼国も大国同様、200カイリの排他的経済水域(EEZ)を有している。
例えば人口約10万人のキリバスは国土が分散しているため、EEZは約300万平方㌔に達する。しかし沿岸警備体制は貧弱で、海洋警察などの法執行機関は限られた能力しか持たない。軍隊を有するのはパプアニューギニア、フィジー、トンガの3カ国のみだ。
北朝鮮はそれらを見越してか、周辺海域を船籍を偽って航行したり、出自を隠して島嶼国で船舶登録をしたりしている。広大な太平洋は違法操業だけでなく、漁船が麻薬密輸、人身売買、マネーロンダリング(資金洗浄)などを行い、越境犯罪の温床になっている。
日本は今回、船舶機材の供与も含めて海上保安能力の強化に協力することを約束した。冷戦終結とともに米国は太平洋の島々に対し関心がやや薄れてきているだけに、日本の役割は決して小さくない。