「少女駈け犬駈け浅瀬夏となる」(橋本博)…
「少女駈け犬駈け浅瀬夏となる」(橋本博)。ゴールデンウイークもきょうで終わり、あすからはまた仕事や学校が始まる。大型連休の最後の日にわびしい気分になるのは、夏休みの終わりと似ているかもしれない。
行楽地や故郷から帰る時の高速道路の渋滞や電車の混雑は、それまでの楽しい思い出さえも打ち消してしまうほど。Uターンラッシュの前に帰宅している人も多いはずだが、それでも渋滞はなくならないのが常だ。
海外へ行くという知人から大型連休の予定を聞かれた。気流子はあまり外出せずに買い置きしていた本の消化に努めた。案外読書が進んだが、仕事に関わりのない本だったせいもある。
俳句の季語で「夏」というのは「立夏(五月六日ごろ)から立秋(八月八日ごろ)の前日まで。三夏(さんか)は、初夏、仲夏、晩夏のこと。九夏(きうか)は夏九十日間をいう。初夏は木々が若葉し快い時期であるが、やがてじめじめした梅雨に入り、梅雨が明けると本格的な夏の暑さが訪れる」(稲畑汀子編『ホトトギス新歳時記』)。
「旅に出て今日子供の日絵本買う」(古賀青霜子)。今年の立夏はきのうの「こどもの日」だから、暦の上では既に夏に入っている。日差しも風も夏の気配が濃厚だ。澄んだ青空には大小のこいのぼりもひるがえっている。
かつて江戸の町の家々は植木や花で飾られていたという。大都会となった東京でも、今の時期は民家の庭先や道路の植え込みでツツジの花が咲き誇っている。