わが国最東端、南鳥島周辺の排他的経済水域…


 わが国最東端、南鳥島周辺の排他的経済水域(EEZ)内に大量のレアアース(希土類)が存在することを、東京大の加藤泰浩教授らが明らかにしたのは2012年6月。先日その資源量が1600万㌧超に達することが分かった。世界の消費量の数百年分というから驚く。

 14年に加藤教授らは三井海洋開発、トヨタ自動車などと「レアアース泥開発推進コンソーシアム」を設立。効率よくレアアースを回収する技術も確立されたという。レアアースはハイブリッド車や電気自動車などの最先端技術に使われるが、中国への依存度が高い。

 10年に沖縄県・尖閣諸島沖で中国漁船の領海侵犯・体当たり事件が起きた時、中国は輸出を全面禁止し、船長釈放へ圧力を掛けたのは記憶に新しい。加藤教授がわが国EEZ内のレアアース資源開発に情熱を燃やしてきたのも、この事件が一つのきっかけだった。

 太平洋に浮かぶ南鳥島は1・5平方㌔㍍の小さな島だが、こうした離島を領有していることで日本に資源大国への可能性が開かれている。

 いずれ回収技術の経済性も確立されるだろう。問題は海洋の安全保障である。中国が日本の同意なしにわが国EEZ内で海洋調査を行っている。

 読売新聞によると、07年以降中国は、学問上の優先権を得ることや大陸棚に関する自国の主張を補強することを狙って調査内容を30本の学術論文に発表した。日本は海洋権益保護にさらに力を入れる必要がある。