今年の干支(えと)の犬は、オオカミが家畜化…


 今年の干支(えと)の犬は、オオカミが家畜化したものとされる。人間との付き合いは古く、「人類最古の友」とも言われる。日本でも縄文時代から飼われていたようで、愛媛県の上黒岩岩陰遺跡から埋葬されたとみられる犬の骨が出土している。

 英国人は犬好きで有名だが、ロンドン駐在中、どの犬もよくしつけられているのに感心した。公園の芝生に寝そべって本を読んでいると、シェパードのような大型の犬が綱を解かれ公園内を走り回っていたりする。ちょっと怖かったが、かみつくことはまずない。

 向こうでは犬と犬が出合って、吠(ほ)え合ったり喧嘩(けんか)したりする光景もほとんど目にしなかった。帰国して、日本の犬のしつけの悪さが気になった。

 しかし、これは必ずしも日本人のしつけが下手なためではないようだ。秋田犬や紀州犬などの日本犬とダックスフントなどの洋犬はそもそも来歴が違うらしい。日本犬はオオカミ系であるのに対し洋犬はジャッカル系で、オオカミ系はジャッカル系に比べ家畜化されるのが遅く、洋犬の方が人間に慣れてからの歴史が古い。つまり、日本犬はより野性味を残しているというのだ。

 最近は道で飼い犬に出合っても、プードルなどの洋犬が多い。洋犬の方が可愛(かわい)らしくて扱いやすいのだろう。

 しかしそういうことを知ると、柴犬などの持っている凛(りん)とした野性的な魅力に改めて目がいく。日本犬には、このほかに忍耐強いなどの特徴があるという。