タイ中部のカンチャナブリ県で、黄色の花を…


 タイ中部のカンチャナブリ県で、黄色の花を咲かせたおびただしい数のマリーゴールドの写真が、18日付の小紙・国際企画面を飾った。プミポン前国王をしのんで栽培され、満開となった42万鉢だ。

 タイの人々が花々の間を楽しそうに歩いている。前国王は月曜生まれだったそうだ。タイでは曜日ごとにシンボルカラーがあり、黄色が前国王の象徴。しかもラマ9世だったことから、鉢は「9」の字が浮かぶように並べられた。

 前国王が亡くなったのは昨年10月。70年間にわたって国民に敬愛され、日タイ両国の親善の象徴でもあった。今年7月、東京国立博物館で開かれた「タイ」展では前国王の肖像が掲げられ、日本人が哀悼の意を示す機会でもあった。

 同展にはタイ当局が国外展示を初めて許可した作品も出品されていた。その一つがラマ2世自らがデザインし、彫刻を施したワット・スタットの大扉だ。2013年から住友財団がその修復を支援してきた。

 タイがかつて西洋化の波にさらされた19世紀半ば、ラマ4世は宣教師から西洋事情を深く学んでタイのあるべき姿を探った。その結果、釈尊の精神に西洋に勝る合理性と理知性を認めて国の方向を定めたという。

 仏教僧団は急激な社会変化の中でも戒律を保持してきた。その最大の支援者が国王だ。国民も仏法王として正しく国を治めてくれることを願ってきた。混乱の多い時代だったが、ラマ9世は死去後「菩薩」として称(たた)えられている。