小津安二郎監督の「東京物語」(昭和28年)…
小津安二郎監督の「東京物語」(昭和28年)の中で、母の葬式を終え、後に残った嫁の紀子(原節子)と、その義妹の京子(香川京子)の会話。京子「ずいぶん勝手よ。云いたいことだけ云うてサッサと帰ってしまうんですもの。あたしお母さんの気持ち考えたら、とても悲しうなったわ。他人同士でももっと温かいわ」と姉たちを批判する。
それに対し、義姉の紀子「お姉さまぐらいになると、もうお父様やお母様とは別の、お姉さまだけの生活ってものがあるのよ」「誰だってみんな自分の生活が一番になってくるのよ」。
この会話は次のように終わっている。京子が「いやァね、世の中って……」とつぶやくと、紀子も「そう、いやなことばっかり……」と同意する。自分が大事なのは確かだが、それでも……という気持ちであろう。
トランプ米大統領が国連で初めて演説した。その中で「米国の大統領として、あなたの国の首脳がいつもあなたの国を最初に置くように、私はいつも米国を最初に置くつもりです」と「米国第一」の立場を改めて示した。考え方としては筋が通っており、会場から拍手もあったようだ。
「すべての責任ある指導者は、自分の市民に奉仕する義務を負っており」とも述べ、これも誰も否定できない。国連への注文も正論だ。
とはいえ、やはり超大国である米国には、他の国とは違った責任があるのではないか。この気持ちは世界の多くの人々が持っているだろう。