夏休みが終盤に入った。新学期を間近に控える…


 夏休みが終盤に入った。新学期を間近に控えるこの時期の心配のタネは、各地で子供の自殺が増えることである。今年の政府の「自殺対策白書」は、15~39歳の死因で事故やがんを上回って自殺が1位であることを「国際的に見ても深刻」だと指摘した。

 過去40年間の統計から、18歳以下の子供の自殺について8月下旬から9月上旬に急増する傾向にあること、特に9月1日が突出していることを分析した平成27年版白書は関係者に衝撃を与えた。

 同年の高校生の自殺は241人、中学生が102人(17年ぶりに100人を超えた)と年間2万人余の自殺者全体の中では少ないとしても、将来ある身の痛ましい事態の増える傾向は何としても押し止(とど)めたい。文部科学省などの呼び掛けに応え、児童生徒の行動の変化などの気付きと見守りの意識を高めたい。

 野に山に海に解放感いっぱいに過ごした日々から、再び時間に制約される学校生活主体の日常に戻る。多少の虚脱感や宿題のことならば心配ないが、いじめや学業、進路などの悩みが絡むケースは要注意だ。

 インターネット上のトラブルも増えている。思春期の子供は小さな胸が押しつぶされそうな悩みを抱えても、隠そうとしがちで、親や教師にもなかなか打ち明けられない。

 予兆を察知するのは難しいが、周囲が子供の話を聞くことに努め、発するSOSをしっかりキャッチしたい。細かな変化を見逃さない細心の注意を払って。