蔵書を整理していて山本七平著『「空気」の…
蔵書を整理していて山本七平著『「空気」の研究』(1997年、文藝春秋刊)が出てきたので、数十年ぶりに再読した。森友・加計学園の問題で、野党、リベラル・メディアによる安倍内閣批判がつくり出した「空気」について考えるヒントがあるのではないかと思ったからだ。
日本の重要な方向は、理性的な議論ではなく、その時の「空気」が決定するという現象にいち早く注目した山本氏。それは今も変わらないと感じさせられた。
こんな一説がある。「中東や西欧のような、滅ぼしたり滅ぼされたりが当然な国々、その決断が、常に自らと自らの集団の存在をかけたものとならざるを得ない国々およびそこに住む人びとは、『空気の支配』を当然のことのように受けいれていれば、到底存立できなかったであろう」。
北朝鮮が日本も主要ターゲットと威嚇しながらミサイル実験を繰り返し、とうとう米本土に届く大陸間弾道弾(ICBM)の発射に成功したと言っている間も、わが国会では「加計」で閉会中審査に熱中した。笑えない喜劇である。
日本人の歴史的体質からくるこの「空気支配」は、簡単には変わらないから、何らかの方法で「空気」を変えるしかない。今回の内閣改造の狙いの一つもそこにある。
しかし、世界が狭くなり軍事環境も変化した。現在の日本は「滅ぼしたり滅ぼされたりが当然」のかつての中東や西欧に近くなっていることを、政治家たちは知るべきである。