太平洋やフィリピン海などのプレートの移動…
太平洋やフィリピン海などのプレートの移動、いわゆるプレートテクトニクスについては、東日本大震災後よく知られるようになった。太平洋プレートは1年間で西へ約10㌢ずつ移動しているというが、そのエネルギーの巨大さは、ちょっと想像がつかない。
産業技術総合研究所の地質学者、高橋雅紀研究主幹によると、プレートの動きによって、日本海溝の位置が西へ年間1~2㌢移動している。このため東北地方付近にひずみが集中し、秋田から新潟にかけての日本海側で内陸型地震が多発する原因となっているという。
内陸型地震も大きくはプレートの動きが影響しているのだ。その意味で、日本は地震発生装置の上にできているとも言えるが、恩恵もある。
身近なところでは温泉などだが、排他的経済水域(EEZ)内で相次ぎ発見され、将来開発が期待されるレアアースやレアメタルなどの海底鉱物資源も、このプレート移動と無関係ではない。
また日本海溝を持ち出さなくとも、周辺に深い海があるというのは、国防上大きな利点である。水深が200㍍ほどしかない東シナ海では中国の潜水艦はほとんど張り子の虎。そのため、南シナ海を潜水艦の聖域にしようと、島々の占有と軍事化を図っている。
日本は水深のある太平洋と日本海という天然の要害があり、加えて世界一の潜水艦技術を保有する。自然環境や地政学的位置をいかに生かすかは、国の盛衰に直結している。