福島第1原発事故による自主避難者への避難先…
福島第1原発事故による自主避難者への避難先での住宅無償提供が打ち切られたことをめぐって、今村雅弘復興相が、自主避難者の帰還を「自己責任」としたことが批判を浴びている。今村復興相は「私の意図とは誤った伝わり方をしたことを反省している」と述べ、発言を撤回した。
しかし、問題となった記者会見の質疑応答をよく調べてみると、復興相の口から「自己責任」の言葉が出たわけではない。
質問したフリージャーナリストは「帰れない人がいる。国はどうするのか」と同じことを何度も聞いている。復興相は、いろいろ難しい問題を抱えながらも帰っている人がいることを説明した。
そんなやりとりがあった後、質問者が「ということは自己責任だと」というのに対し、復興相は「基本はそうだと思いますよ」と答えている。同じことを何度も繰り返し、結局「自己責任」という言葉を大臣に語らせたかったとすら思える質問の仕方である。
原発事故で故郷を離れざるを得ない人々、帰る決意ができない人々をいかに帰れるようにサポートするかが重要なはずだが、質問には反原発の政治的意図が見え隠れしている。避難者の帰還を福島の復興につなげることを真剣に考えているとは思えない。
被災者に同情するふりをして反原発の政治目的や、政権攻撃の材料に使おうという勢力があちこちにいる。復興相はそのことを忘れないで、言葉尻を捉えられないよう心すべきだろう。