曜変天目茶碗は、陶芸作品の最高峰と言われる…


 曜変天目茶碗(ちゃわん)は、陶芸作品の最高峰と言われる。12~13世紀、中国福建省で焼かれた。現在、世界に3点が存在し、いずれも日本(東京、大阪、京都)にある。3点とも国宝だ。

 昨年12月、人気テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」で、4点目が発見された。鑑定を担当した中島誠之助氏は「鑑定団始まって以来、最大の発見」と述べた。「国宝になっていたかもしれない大名品」とも評価した。

 が、肝心の鑑定額は2500万円。低い金額ではないが、世界的名品で国宝級という割には、安過ぎるのでは?と番組を見ていて思った。5億円ぐらいでもいいのでは?というのが正直な感想だ。

 いずれにしても世紀の大発見なのだから、そのうちメディアが報道するだろうと思って待っていたが、それもなかった。週刊誌が記事を載せた以外、反応が出てこない。

 古美術・骨董(こっとう)の世界では、あらゆる鑑定にミスは付き物だ。今回のケースもそうしたものなのかどうか。週刊誌の報道は鑑定に異論を唱えるものが中心だが、だからと言って、今のところその報道に根拠があるわけでもない。それでも「今後どう進んでいくのだろう?」という気持ちは残る。

 あらゆる鑑定、批評は全く自由だ。鑑定額について「高過ぎる、安過ぎる」と批評するのも自由。本物か贋物(にせもの)かに関して、賛成・反対の議論も自由だ。この一件については、もう少し見守ってもいいか、という気もしている。