「元朝(がんちょう)や神代の事も思はるゝ」…


 「元朝(がんちょう)や神代の事も思はるゝ」(守武)。明けましておめでとうございます。きょうから2017年。元朝とは、元日の朝のことである。毎年のことながら新年の朝を迎えると、そのたびに生まれ変わったような気持ちになるのが不思議である。

 街では年々減ってはいるけれども、正月飾りが新鮮な風景を形作っている。飾りの松は、冬の寒さの中で、凛(りん)としたたたずまいを見せている。

 「一年の計は元旦にあり」ということわざがあるが、物事は最初が肝心である。元旦には、平凡なことながら、家内安全、無病息災、平和を願う気持ちが自然とわいてくる。

 昨年は国内外ともに数々の大きなニュースがあった。そのインパクトで、わずか1年前の昨年の元旦のことを思い出そうとしても印象が薄らいでいる。今年は、昨年に波乱を起こした一人である米国のトランプ新大統領が始動する。

 たった1日違いで、昨日は去年、きょうは新年になる。そうした時の流れを俳句の季語では「去年今年(こぞことし)」と表現する。「人々は去り行く年を惜しみ、新しい年を、希望に燃えて迎える。年が明けると昨日はすでに去年(こぞ)であり、今日ははや今年(ことし)である」(稲畑汀子編『ホトトギス新歳時記』)。

 新年の目標を定めた人も多いだろう。今年を良い年にするためにも、まずはそれぞれの目標に向かって第一歩を踏み出さないと始まらない。きょうがそんなスタートとなることを祈りたい。