東京の今を捉えた写真展「東京・TOKYO」…


 東京の今を捉えた写真展「東京・TOKYO」が東京都写真美術館で開催されている。総合開館20周年を記念した企画で、将来性のある作家に注目した「日本の新進作家vol.13」。

 6人が出品している。そのイメージを「混沌」と語るのは元田敬三さん。ツッパッたライダーなどを被写体にしているが、被写体との緊張関係の中で、カメラこそ人を結び付ける有効なツールだという。

 「この都市が巨大な怪物に思える時すらある」というのは中藤毅彦(たけひこ)さん。多面的で、巨大で、漠然としていて、つかみどころがない。そして撮影したのは「街の記憶が澱(おり)のように染み付いた場所ばかりだった」。

 警備員をしたことのある田代一倫(かずとも)さんは、警備員から見れば写真家の私は「不審者」だという。テーマにしたのは行き交う人や仕事をしている人。撮影が了承される時、彼らの生活は中断されて「両者の環境が等しくなる」と語る。

 ビル群や川辺の風景を写した小島康敬(やすたか)さんは、東京の風景を「けっして均質でない無機質でどこか嘘っぽくもある」と形容する。それらの写真はジオラマを見ているような印象さえ受ける。

 野村恵子さんは流れ行く日々の中に永遠なものを探そうとし、佐藤信太郎さんはスカイツリーを主題にして、歴史の層が入り混じる東京の深みを捉えようとする。彼らが作品にした大都会は、人々の欲望の渦がつくり上げた歴史的創造物だ(2017年1月29日まで)。