スマートフォンやパソコンを用いた「遠隔診療」…
スマートフォンやパソコンを用いた「遠隔診療」。昨年8月に厚生労働省の通達で「離島、へき地」のみでなく、全国に拡大するようになった。一見すると、医療行為としてはどうか?と疑問視されかねないが、さまざまな可能性を秘めている。
その一つが、医療格差の是正だ。遠隔診療の未来を探る「CLINICSサミット」(株式会社メドレー主催)が東京都内で開かれたが、やはりその点が強調された。発表者の一人は千葉県いすみ市の外房こどもクリニック・黒木春郎院長。
少子化が進行し、政府の子育て支援が進む中で、小児医療の充実が望まれている。ところが人口4万人足らずの同市では、このクリニックを中心とする半径50㌔圏内で小児科の2次診療の病院は見当たらない。
子供の人口は減少しているものの、小児科医は東京に偏在し地方ではずいぶん不足している。黒木院長は、患者の利便性向上を図りオンラインによる診療を10カ月前に取り入れたところ、子供の突然の発熱などにもそれなりに対応できることが分かったという。
今、地方での定住が躊躇(ちゅうちょ)される理由の一つに、病院などの医療機関の不足が挙げられている。遠隔診療の拡大は、過疎問題の解決や地方再生にもつながる動きではないか。
実は、この「サミット」に300人もの現役ドクターら関係者が集まった。これには正直、大変驚かされた。医療改革への思いは強いように感じられる。