旅行業界では「インバウンド」と呼ばれる訪日…


 旅行業界では「インバウンド」と呼ばれる訪日外国人客は急増し、昨年は2020年までの目標2000万人寸前までいった。勢いが続く今年は今月中に2000万人を突破しそうで、宿泊施設の不足などもあって「おもてなし」にあたふたする業界のうれしい悲鳴が聞こえてくる。

 当初のインバウンドの目標は、今年3月に倍の4000万人に引き上げられた。一方、海外に出て行く日本人旅行客、アウトバウンドの方は伸びが止まり、減少傾向。ついに昨年はインバウンドがアウトを上回り45年ぶりに逆転したのである。

 日本人の海外旅行は東京五輪が開催された1964年に海外渡航が自由化され、70年に12万人、80年390万人。90年には初めて1000万人を超え、2000年の1781万人がピークに。

 この間、80年代の海外ハネムーンブーム、円高、90年代の留学・語学研修ブーム、韓流ブームなどが倍々増を押し上げてきた。しかし、以後は01年の9・11テロ、03年の重症急性呼吸器症候群(SARS)などが影響して急減。

 その後、回復して12年に1849万人と再ピークを記録するが、後は再び減少傾向で1600万人台の推移である。

 07年のデータでは、日本人の出国率は13%台。英国の113%台、ドイツの93%台と比べて著しく低いが、韓国と豪州23%台、台湾37%台と比べても低い。インだけでなくアウトバウンドの後押しにも、もっと知恵を絞りたい。