大関カド番では史上初の15戦全勝優勝。…
大関カド番では史上初の15戦全勝優勝。負け越せば大関陥落という崖っぷちで迎えた大相撲秋場所で、豪栄道は初日から破竹の勢いで白星を重ねた。日本人力士の全勝制覇は平成8年秋場所の横綱貴乃花以来、20年ぶり。
白鵬休場の場所とはいえ日馬富士、鶴竜の両横綱を倒しての堂々の賜杯である。千秋楽の相手は、今年初場所千秋楽と同じ琴奨菊。この一番に突き落としで敗れ、目の前で琴奨菊が優勝を決めた。平成18年初場所の栃東以来10年(59場所)ぶりの日本出身力士の優勝に、国技館が沸き上がったのを見ている。
その借りを返した形の一昨日の土俵は、琴奨菊の左差しからの寄りを右から押っつけてこらえ、もろ差しになると腰を落とし一気に寄り返した。今場所を象徴する豪栄道らしい切れと勢いを見せてくれた。
「今場所は勢いに乗ったが、来場所が本当の力」(日本相撲協会・八角理事長=元横綱北勝海)を量ることになる。来場所は一転して豪栄道の綱取り場所となるが、その重圧の中で成績を残すのは至難の業である。
過去のカド番優勝は7人いるが、このうち翌場所で優勝し綱取りを果たしたのは誰もいないからだ。豪栄道がワンチャンスをものにして史上初となれるか。
あるいはここ4場所、綱取りの最も近くにいた稀勢の里、初場所Vの琴奨菊が仕切り直しで巻き返せるのか。久々に日本人3大関が注目を集めそうな九州場所が早くも楽しみである。