松竹映画「男はつらいよ」の第41作はオーストリア…


 松竹映画「男はつらいよ」の第41作はオーストリアのウィーンが舞台。「どこの川の流れも同じだなあ。流れ流れて、どこかの海に注ぐんだろう?」と、寅さんはドナウ川を見てつぶやく。

 寅さんにとってドナウ川は故郷の江戸川のように感じられたらしい。1989年8月に公開された作品だが、実は87年11月に、東京・葛飾区とウィーンのフロリズドルフ区は友好都市提携を結んだ。

 きっかけは86年、当時のウィーン市長が来日する飛行機の中で「男はつらいよ」を観て、そこに登場する家族や人間模様、土地柄がウィーン市郊外の風景に似ていて、強い印象を受けたからだった。

 2001年にはフロリズドルフ区の幹線道路が「カツシカシュトラーセ(葛飾通り)」と名付けられ、09年には「寅さん公園」も開園。葛飾区でも先週、かつしかシンフォニーヒルズで「ウィーンのいざない〓」と題するコンサートが開かれた。

 出演は原佳大(ピアノ)、三上亮(ヴァイオリン)、安藤由布樹(編曲・ピアノ)、家田紀子(ソプラノ)、佐藤一昭(テノール)の5氏。それぞれ歌と器楽でウィーンの雰囲気を再現する。

 実は、これまでも「ウィーンの響き」と題するコンサートを12年間続けてきたが、今回新たにリニューアルオープン。青木克徳区長も来場し、「ウィーン気質は葛飾区の下町気質と合うのです」と語り、都市交流が続いてきたことを述べた。