関東地方を直撃し、東北地方を縦断した台風9号…
関東地方を直撃し、東北地方を縦断した台風9号。総体的に被害が抑えられたとみられるのは、国や自治体の河川管理、住民の災害に対する備えがそれなりに進んできたからだ。
ただし、局地的豪雨が繰り返し観測されるのは、ここ10年来の特徴であり、今後、決して楽観できない。今回も静岡県伊豆市での24時間雨量は400ミリ、神奈川県箱根町で290ミリ、東京都青梅市や埼玉県飯能市などでも200ミリを大きく超えた。
以前は東京など大都市で、1時間に50ミリほどの大雨はあまりなかったが、最近はまれな現象でなくなった。大都市では、地下に商店街の存在は当たり前で、交通機関が縦横に走っている。地下の浸水はアリの一穴から起こり得ると言われる。
昨年9月、茨城県を流れる鬼怒川堤防が決壊し大きな被害が出た時は、上流と下流で同時に記録的な降雨があった。今、河川によって「氾濫危険水位」などの基準が定められているが、鬼怒川のケースのような降り方ではその基準も役立たない。
局地的豪雨に遭遇した時の情報の伝達や住民避難について、もっときめ細かい対策が必要だ。例えば「雨で裏山の様子がおかしい」と住民が気付いた時、とっさに避難ができるかどうか。
最寄りの役所に連絡して助けを求めても、役所のスタッフはどうすることもできない。現実的な被害防止を想定したネットワークづくりを検討すべきだ。