写真家で冒険家の石川直樹さんはある時期、…


 写真家で冒険家の石川直樹さんはある時期、毎年のようにミクロネシアの離島に通い、古老から海図やコンパスを使わないで航海する技術を学んだ。冒険とはシンプルなものを追求していくものだからだ。

 『全ての装備を知恵に置き換えること』(集英社)で打ち明けている話だ。彼ら航海者は、舟に当たる水の音で、方角や自分の位置を把握し、波も海流によるものか、他の原因によるものか感じ分けるという。

 現代の冒険は学術研究と結び付く場合もある。日本人の先祖が3万年前に行ったという航海を再現しようと、考古学者や人類学者、探検家のチームが2艘の草舟を作り、沖縄県・与那国島から西表島に向けて出発する(小紙7月12日付)。

 国立科学博物館人類史研究グループ長の海部陽介さんによると、琉球列島には3万年前に現生人類が暮らしていた遺跡が多数あり、彼らは陸続きだった台湾から舟で渡ったと考えられる。

 このルートは、古代人が日本にやって来たという北海道ルート、対馬ルートに比べて、大航海という難関があった。それがどのようなものだったのか、実験で試してみようというプロジェクトだ。

 舟は当時の技術や材料を検討し、与那国島に自生する丈夫な草「ヒメガマ」を使うことに。蔓草で束ねて作った。二つの島の間は75キロ。三十数時間かかるという。13日の出発予定は海の状況で延びているが、成果が期待される。