人と人、人と地域を結ぶ「物流」の世界は…
人と人、人と地域を結ぶ「物流」の世界は日進月歩、そのネットワークの広がり、緊密化には驚かされる。国産食材のアジアへの移送にも、どんどんきめ細かいサービスが取り入れられるようになった。
その一つだが、東北地方や北海道の「朝市」などで、訪日外国人客が購入した生鮮品を自宅に直送するというシステムが生まれた。日本航空と日本郵便が連携する国際小口保冷配送サービス「クールEMS」を使うのがそれ。
朝市や青果売り場、高速道路の「道の駅」などにその窓口を開設し、買い物時に利用できる。日航グループなどが企画する訪日客向け旅行商品に、生鮮品の生産・販売現場の訪問を組み込むという。
「発送後は食品を持ち運ばずに日本での旅行を続け、帰国後に自宅などでゆっくり楽しんでもらいたい」(日航担当者)と。食材の鮮度を保ちつつ土産物を持ち運ぶ不便を解消する試みだが、訪日客の増加に寄与するかどうか。
一方、地味な試みだが、国内の地域活性化を目指す物流改革もある。佐川急便は第三セクターの北越急行(新潟県南魚沼市)と組み、一部の宅配荷物を地方の旅客列車で輸送する取り組みを始める。
「地域に必要な交通インフラの維持や、地元経済の活性化に役立ちたい」(荒木秀夫同社長)と。今秋に試験スタートし来年度に本格運行予定だ。こちらは、地域の人、モノの往来を盛んにする効果も期待される。