韓国旅行からの帰路、金浦空港で同じ旅客機に…
韓国旅行からの帰路、金浦空港で同じ旅客機に乗ったグループがあった。韓国の禅宗、曹渓宗の尼僧たちで、スニーカーを履き、淡いグレーの僧衣に身を包んでいた。行き先は上野の東京国立博物館。
「ほほえみの御仏―二つの半跏思惟像―」の公開に先立って、その日の午後行われる開眼供養に出席するためだという。日韓国交正常化50周年を記念して開かれるこの特別展は、先に韓国のソウルで開催。
続いて日本。開眼供養は「国宝半跏思惟像」のある奈良・中宮寺の門跡日野西光尊さんによって行われ、中宮寺責任役員代表である裏千家千玄室大宗匠による献茶式も開かれたという。歴史的な展示を象徴する儀式だ。
韓国からやってきたのは「韓国国宝78号半跏思惟像」で、6世紀の作品。日本の半跏思惟像は7世紀のもの。二つの像は姿かたちがそっくりだが、素材や表情など微妙な違いが両国の特色を表している。
光を抑えた、広い空間に、2体の仏像が離れて向き合っている。両国の国宝半跏思惟像が同じ空間に一緒に展示されるのは、初めてのこと。日本側の実行委員会事務局長・藁谷友紀さんの「夢」だった。
「日本と韓半島の交流の原点に触れ、その意味を確認する事によって、両国の新しい時代への確かな一歩が始まる」(「夢を叶える」)と藁谷さんは述べる。二つの仏像が象徴するのは平和、理想、愛。新たな時代を開く特別展だ。