道端などで緑葉の中の白い花が際立ち、その…


 道端などで緑葉の中の白い花が際立ち、そのコントラストも美しい。葉は薬草や茶として私たちの生活に大いに役立っているのに、その花名のイメージで損をしているドクダミをよく目にするようになった。

 きょうは5月も末日、明日からははや6月である。草木が成長し生い茂る「小満」が過ぎ、芒のある穀物や稲や麦など穂の出る穀物の種をまく季節という5日の「芒種」と、梅雨入りを前にしたこの季節。

 百舌が鳴き始め、カマキリや蛍が現れ始めるころで、横浜の三渓園では5月28日から「蛍の夕べ」が始まっている(6月5日まで)。庭先の草木も新緑から真緑へと深みを増し、癒やされ心がリフレッシュする。

 梅雨入りを催促するように、例年より少し早く七色の花が顔を出すアジサイも、今はまだ緑葉をバックにした白い花が映える。山法師、ドクダミ、そして小さな花をいっぱいに付けた庭のジャスミンが放つ芳香、卯の花やクチナシ。

 尾瀬などからは水芭蕉やザゼンソウなどしっとりと潤いを湛える白い花の便りが届き、まださわやかな夏が広がる。そして梅雨を迎える中で花ショウブ、カラー、水の上の睡蓮などが6月の水辺を緑と白のハーモニーで彩るのである。

 6月の花の主役で七変化を楽しませてくれるアジサイが登場するまで、その前座を務める白い花たちも多士済々に季節を盛り上げてくれる。<六月や水辺の花のみな白く> 三城佳代子