「新緑の香に新緑の風を待つ」(稲畑汀子)。…


 「新緑の香に新緑の風を待つ」(稲畑汀子)。この頃は室内にいるとやや蒸し暑く感じることもあるほど。しかし外に出ると、爽やかな風や新緑の景色に出合う。街ではウイークデーでも、近郊でレジャーを楽しむような夏服にリュックやスニーカーなどの服装が目立つ。

 5月といえば「五月病」の時期だ。大学の新入生や新社会人が、環境の変化に適応できずに発症するもので、うつ病と診断されることもある。

 気流子も大学時代に患った経験がある。といっても、当時はまだ大学紛争のさなかで、入学したものの、まともに授業が行われず、ロックアウトで休講になることも多かった。

 上京してからまだ間もなく、友人もいなかったので、突然できた自由な時間を持て余し、下宿のアパートで読書をするか、ぶらぶらと散歩した。気が付くと、大学へ行くのも億劫になり、人との会話のない生活が続き、いつの間にか部屋に閉じこもるようになっていた。

 発症するのは、ゴールデンウイーク明けも少なくないという。休日中の疲れが一挙に噴き出し、精神的に不調になることも原因の一つということだろう。長い休暇を楽しむことで、仕事モードになることへの抵抗感や拒否感が深層心理にあるのかもしれない。

 このようなことを考えると、改めて人間というのは機械ではないことが理解できる。普段から人間同士の交流や自然に触れることでリフレッシュすることが必要である。