俳句雑誌(俳誌)が時々送られて来る。同じ…
俳句雑誌(俳誌)が時々送られて来る。同じ雑誌が何度か来ることもあるし、初めて見る雑誌の場合もある。結果、おのずと雑誌の格・実力が見えてくる。一句一句の作品の出来よりも、俳誌全体の水準の話だ。
決め手の一つが「批評」だ。大抵の雑誌には批評のコーナーがある。俳句作品ばかりがゾロリと並んでいる、というケースはめったにない。どうやら、批評の実力が高い雑誌は作品の力量も高い、という傾向がある。
もちろん、「いい作品はいい」ので、作品に接した一瞬のうちにそれは分かる。ジャンルは違うが、ある古美術商は「骨董品の真贋は写真でも分かる」と言う。まずは直観が重要、というのはあらゆる芸術作品との接し方の基本だ。
批評は二の次なのだが、その作品の「よさ」について何らかの説明があった方がいい。「これはいい」という判断だけでなく「こういう理由でこの作品は優れている」という批評があった方が他人には分かりやすい。
自分が「いい」と思うことと、他人に向かって作品の「よさ」を伝える批評とは、似ているが微妙に違う。直観による判断よりも、批評の方が説得力が増すことは確かだ。
優れた批評を含む雑誌の方が、そうでない雑誌よりも実力が上であるのは、ある意味当然のこと。半面、何事であれ決めつけは禁物。そのあたりは複雑で、批評力が弱い雑誌にいい作品が掲載される可能性はあるし、その逆もありうるからだ。