白亜の宮殿「迎賓館」(東京都)など、政府は…


 白亜の宮殿「迎賓館」(東京都)など、政府は公的施設を国民、訪日外国人旅行者に積極的に公開し始めている。建物類が多いが、その中で「首都圏外郭放水路」は変わり種の一つ。6月から見学日程や定員枠が拡大される。

 埼玉県春日部市の国道16号直下・深度50㍍にある全長6・3㌔の地下水路で、ふだんお目にかかれない、縁の下の力持ちだ。埼玉県や東京都の浸水被害を軽減するため平成4年に着工、18年度に完成した。

 大雨時に河川からあふれそうな水をバイパスとなるこの放水路に流し込み、他の川に排水する仕組み。排水前に水を一時貯蔵する地下20㍍の水槽は、東京ドーム1個分に相当する広さ、幾本もの巨大柱で支えられ、さながら「地下神殿」だ。

 世界最大級の地下放水路。管理する国土交通省江戸川河川事務所によると、最近は米CNNテレビや中東の衛星テレビ局アルジャジーラの取材もあり、訪れる外国人も増加。「海外にはあまりない施設なので、『仕組みがすごい』と驚かれる」(担当者)。

 放水路と言えば、その先輩格に「荒川放水路」がある。東京・北区の岩淵水門から荒川下流部22㌔がそれで、実は荒川は人工の河川なのだ。東京の下町を水害から守るため、昭和5(1930)年に完成した。

 最新技術を駆使した首都圏外郭放水路だが、その壮大・緻密な構想は、浸水害を何度も防いだ約1世紀前増築の荒川放水路のそれを継承している。