虐待が疑われるとして、全国の警察が児童相談所…
虐待が疑われるとして、全国の警察が児童相談所(児相)に通告する件数が急増している。そんな中、両親から虐待を受けたとして神奈川県相模原市の児相に保護を求めていた中学2年の男子生徒が自殺を図り死亡した。
「保護してほしい」と繰り返し訴えていた生徒の胸の内を思うと、残念でならない。同児相の鳥谷明所長は、対応後に親の暴力は減り、親子関係は改善していたと説明したが、保護の時期の決断が課題として残った。
児相は従来、子供の教育や非行などの相談に対しアドバイスを行う機関だった。ところが、ここ10年ほどで、虐待から子供たちを守るための前線機関の一つとなった感がある。
それと共に親権制限論議も盛んで、そこには親による虐待から子供を守るという名分がある。だが、拙速にすれば親権が軽んじられ、逆に家庭崩壊を促しかねない。難しいところだ。
民主党政権時、民法に親権制限制度が盛り込まれ平成24年から施行されている。しかし児相の現場では、権限と責任は大きくなる一方、明確な運用基準がなく荷の重さを感じている所が少なくないようだ。
その民法改正時、親権制限の動きに反対運動を展開した、内外地理研究会代表の小菅清さんは「児相の仕事を本来の相談業務だけに戻すこと」を主張、家庭、家族の重要性を訴えた。児童虐待の急増に対し、児童福祉司ら職員の技量向上と並行して本来の家庭の在り方の啓蒙が必須だ。