南半球で過去に観測された中でも最強の熱帯性…
南半球で過去に観測された中でも最強の熱帯性サイクロン「ウィンストン」が、20日夜から21日にかけ南太平洋の島国フィジーを直撃。最大瞬間風速は90メートルに達し、被災地に破壊の爪痕を残した。地球上に自然災害の種は尽きない。
23日までにフィジー(人口約90万人)の死者は29人に達したが、被害の全容は分かっていない。国連児童基金(ユニセフ)は「ウィンストン通過地域には6万人以上が暮らしていた」と指摘し、被害がさらに膨らむ可能性を示唆している。
救助活動やがれきの撤去作業はなかなか進まないようだ。島々など地方との通信網が寸断されており、衛生状態の悪化のほか、飲み水や食料の不足に備え、オーストラリアやニュージーランドが支援に乗り出している。
昨年3月、同じ太平洋島嶼国のバヌアツやキリバスを襲い、大きな被害を出した巨大サイクロン「パム」は記憶に新しい。最大瞬間風速80メートル、高潮による高波の高さは14メートルに達した。
気候変動による海水温上昇の影響を受け、一昨年から昨年にかけこの地域では、かつてないような強さの熱帯低気圧やサイクロンが発生し、その頻度も高くなっている。そして今回の「ウィンストン」だ。
海面上昇で世界で最初に沈む国々と言われる島嶼諸国だが、異常気象や気候変動による脅威はそれだけでない。頻発する大きなサイクロンや多雨あるいは干ばつによる自然災害にも直面している。