優勝回数の多い順に白鵬、朝青龍、日馬富士、…


 優勝回数の多い順に白鵬、朝青龍、日馬富士、鶴竜、旭天鵬、照ノ富士とモンゴル出身力士が並ぶ。これに琴欧洲(ブルガリア)と把瑠都(エストニア)で、平成18年初場所の栃東の次から先場所まで10年間、外国生まれの力士が賜杯を占めてきた。

 その壁を打ち破って初場所は、日本生まれの大関琴奨菊が念願の初賜杯に輝いた。

 日本人は芸術やスポーツ競技などでは、国や民族などはあまり気にせず、ただ最高の成績、演技、美だけを賛美してファンとなる傾向が強い。

 それでも大相撲は国技である。10年もの間、日本出身力士の優勝がないことに歯がゆい思いを抱いてきた人も多いに違いない。が、誰よりもそれを感じてきたのは当の力士たちであろう。

 蘇った鋭い出足と圧力、馬力を利かせたがぶり寄りの型にはまると、横綱でも残せない。白鵬ら3横綱を破っての14勝は、内容のある高レベル優勝と評価したい。

 琴奨菊が部屋頭を務める佐渡ケ嶽部屋の先代師匠は、元横綱琴桜。両ひざと右胸の故障を体幹鍛錬で乗り越えてきた琴奨菊は、満身創痍の体で綱を張った先代の「けがは稽古で治せ」を体現して栄冠を引き寄せた。

 今の幕内の星取表を眺めて気付いたことが一つ。しこ名に花名が付いているのは琴奨菊だけ。先代は「桜」だが、その先代が名字の菊次(きくつぎ)から1字とり「人から尊敬される力士になれ」と付けた。この歓喜だけで終わらず、次の大輪を咲かせてもらいたい。