「霜焼のかなしき右手(めて)をさすりつゝ」…


 「霜焼のかなしき右手(めて)をさすりつゝ」(星野立子)。寒波が来て、朝夕の冷え込みが厳しい日が多くなった。冬であれば当たり前のことながら、暖冬が続いたので突然という印象が強い。

 寒さもさることながら、水の冷たさには眠気も一変に覚める痛さがある。昔は手で水仕事をするのが当たり前で、気流子の子供時代は冬には手にあかぎれや霜焼けができた。特に、あかぎれは水などが染みると、その痛みはかなりのものだった。

 今では、あかぎれになることはほとんどないが、当時を思い出すと痛みがよみがえってくるようだ。稲畑汀子編『ホトトギス新歳時記』によれば、あかぎれは「冬の寒さのため、また水仕事、荒仕事のあとなど、皮膚の皺に沿って細かい裂け目が入り、血がにじんだり熱をもったりする」。

 一方、霜焼けは「烈しい寒さのため皮膚の血管が麻痺し、血行が悪くなり、手や足、耳たぶなどが赤紫色に腫れて、かゆくなり、ときには痛みを伴う」などとある。

 最近、手で握らない「おにぎらず」が流行してレシピなども紹介されているのを見かける。その人気の秘密は、手も汚れず簡単なのと見た目がきれいなどということらしい。だが、母親の愛情がこもっているのは、おにぎり(おむすび)も変わらない。

 きょうは阪神大震災の炊き出しにちなむ「おむすびの日」(「ごはんを食べよう国民運動推進協議会」が2000年11月に制定し、01年から実施)でもある。