一昨日の日曜日、JR郡山駅から猪苗代湖の…


 一昨日の日曜日、JR郡山駅から猪苗代湖の北寄りを会津若松駅に向かう磐越西線沿線は白一色の雪景色。6日の寒入り後も平年より1~2度高く、ぬくい日が続く東京では今年は雪はまだ。空模様も薄曇りの東京から、こちらは舞う雪が高地に上るにつれ本降りに。

 窓外の今年初めて見る雪に、年甲斐もなく少し心が躍った。相席した郡山に住む中年の女性は、別の事に心を浮き立たせていた。ちょうどこの日が会津地方伝統の初市「十日市」の日で、目当ての会津漆器の老舗に行くのだと言う。

 普段の老舗は入口を開けて入るから、見て回るだけで何も買わないのではなかなか出にくい。「十日市」の日だと、どこも店を開けっ放しにするから、いろいろ見たあとも気兼ねなく出られる。

 だから、この日に毎年1回だけ若松で買い物をする。「じっくり品定めして、自分用に一品だけ、本当に気に入ったものを買うんです」と。

 そんな話が頭に残っていたのだろう。あいにくのみぞれ模様の下でも市は、会津の民芸品で復興のシンボルの「起き上がり小法師(こぼし)」、商売繁盛の縁起物「風車」や飲食物を売る400店以上の露店に、大勢の人が押し寄せにぎわっていた。

 老舗の漆器店に入ると、椀一つ見ても、3椀で500円のものから1椀で1000円台、それ以上の高額品など品質と価格の大差に、市でのじっくり吟味できる買い物に納得。旅は時に新しい発見に誘う。