「よその子を抱いて炬燵にお正月」 (高田風人子)…


 「よその子を抱いて炬燵にお正月」(高田風人子)。新年を迎えてきょうで3日目。そろそろ正月休みも終わるが、漠然とした期待や不安、そして落ち着かない気分を感じる人もいるだろう。

 正月は手持ち無沙汰で、テレビの新春番組を見たり、年賀ハガキを繰り返し読んだりすることになりがちだ。そんな時には古人の知恵に学ぶのがいいかもしれない。

 新しい年を迎えると、初詣に始まる、さまざまな神事や行事がある。それを通して、新年を実感していたのである。

 「拝殿の闇おごそかや初詣」(上野青逸)。俳句の歳時記をひもとくと、1月の項目は、とにかく「初」が付く季語が多い。「初鶏」「初雀」「初明かり」「初日」「初空」「初富士」「初詣」「初電話」「初暦」などがある。

 古人は新年を新しい生、生まれ変わりのような感覚で捉えていたと言える。1年の春夏秋冬を人生のサイクルに例えれば、新春はまさしく誕生だからである。それが高じて江戸時代の人々などは「初鰹」などの旬の走りのものに狂奔したのだろう。何事も最初のスタートが大切であることは間違いない。

 「書初の片仮名にして力あり」(川島奇北)。今では、正月に書き初めをする家庭はそれほどないだろう。年賀状もパソコンで印刷するのが当たり前になっている。だが年の初めには、筆ペンでも用意して手書きで字を書くだけでもしてみたい。それが心の準備にもなるからだ。