韓国の朴槿恵大統領らへの名誉毀損で在宅起訴…
韓国の朴槿恵大統領らへの名誉毀損で在宅起訴された産経新聞の加藤達也前ソウル支局長に対し、ソウル中央地裁が無罪判決を言い渡した。当然である。
公人への批判を名誉毀損として起訴すること自体が民主国家の常識から懸け離れていた。日韓が共通の価値観を持つ上でも、言論の自由は欠かせない。
日本政府は再三、韓国側に適切な対応を取るよう求めていた。これを受け韓国外交省は、日韓関係に配慮して同地裁に善処を求める「量刑参考資料」を提出していた。法廷で「日本の要請を真剣に考慮する必要がある」というその文書が読み上げられた。この異例の措置を見ても、極めて政治的な判決であった。
しかし一方で韓国の裁判所は、徴用工への補償問題などで、日韓請求権協定で解決済みとする政府の立場に反し、国民の反日感情に沿った判断を下すなど、世論の動向に左右される傾向がある。
国際世論の批判も無視できなかった。国家ブランド戦略でイメージアップに力を入れる韓国としては、この問題で非民主的な国と思われたくはないだろう。
国交50年の年にもかかわらず、悪化する一方だった日韓関係。それでも暮れになって、改善への糸口が見えてきたのは幸いだ。ただ今回の判決と、両国間の最大の懸案となってしまった、いわゆる従軍慰安婦問題は、別次元の問題だ。将来に禍根を残さぬよう、きちんと峻別して対応していくことだ。