「炭鉱のカナリア」とは、危険が迫っている…


 「炭鉱のカナリア」とは、危険が迫っていることを知らせる前兆のことで、かつて炭鉱労働者がカナリアを籠に入れ坑道に入ったことに由来する。ガス発生などにカナリアは敏感なためだ。

 今、地球規模の気候変動で、その弊が先鋭的に表れているのは、海抜が2~3メートルしかないモルディブやツバルなど南太平洋の島嶼環礁国。海面上昇によって温暖化の脅威にさらされる最前線となっており、まさに炭鉱のカナリアの役回りだ。

 その中でもキリバスやツバルは将来、自分たちの土地に住み続けることは難しい。キリバス政府はフィジーに土地を買っている。待ったなしの状況だ。

 今月30日から、パリで国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)が開かれる。温暖化対策をめぐる先進国の責任分担や途上国への資金支援の在り方について各国の攻防が予想される。

 今回、米国や中国の出方がカギを握るのは、これまでの国際会議と変わりない。米中とも最近、国内で大干ばつや洪水の被害が出ていて深刻だが、果たして地球規模の災害の前兆だという厳しい認識を持っているかどうか。

 特に中国の対応は疑問に思うことが多い。事あるごとに米国に次ぐ世界第2の経済大国であることを強調して、その主張を通そうとするが、二酸化炭素排出量の規定などについては、新興国という立場を前面に出し消極的だ。自然からいずれしっぺ返しを受けるだろう。