「空席の目立てる講義冬に入る」(橋川規子)…


 「空席の目立てる講義冬に入る」(橋川規子)。きょうは「立冬」。暦の上では「冬」となる。とはいえ、暖かい時もあるし、紅葉の見頃もまだ先だと思う人も少なくないだろう。

 ただ、朝夕の冷え込みは、身近に迫った冬の到来を感じさせることは間違いない。季節はゆるやかに変化するが、気付いた時には急激に変わったように思うのかもしれない。

 読書週間(10月27日~11月9日)もあすで終わる。しかし、この期間、何を読んだかと思い浮かべると、にわかに戸惑ってしまう。これといって印象に残るものが少ないからである。仕事中心で、教養を深める読書をした感じがしない。

 一冊を熟読するという読書の醍醐(だいご)味をいつから味わっていないだろうか。気流子の場合、学生時代は当てもなく、ただ本を読む喜びのために乱読をした。しかし最近では情報を得るために読む方が多いせいか、純粋な喜びを得ることがあまりない。

 そのあたりは意識して読書に取り組んだ読書週間でも変わらない。現代は、紙の本ばかりではなく、電子ブックもあるので、読書の形態が多様になってきた。だが、それが読書人口の増加には直結していないのではないか。

 とはいえ、読書する習慣を付けることが重要であることは間違いない。物事を受け身で捉えるのではなく、自ら考える思考力を養うからである。読書週間は終わっても、読書の習慣を継続することが大事である。