「あえて注文をつけるとすれば、中央アジアへ…


 「あえて注文をつけるとすれば、中央アジアへの目配りでしょうか。中国とロシアが、上海協力機構の枠組みで影響力を保持しようとしている地域です」「この地域をカバーすることで、本当の意味での地球儀を俯瞰する外交が完成するのでは」(宮家邦彦・キヤノングローバル戦略研主幹、文藝春秋11月号)。

 安倍晋三首相は昨日のキルギス、きょうのカザフスタン訪問でモンゴルと中央アジア5カ国歴訪を終える。5カ国のうちウズベキスタン、キルギス、カザフの3カ国は、小紙記者2人が先に現地取材してきた。

 その連載ルポ「中央アジア胎動/中国『新シルクロード』と日本の戦略」(今月14日~23日)を改めて読み直した。

 旧ソ連邦を構成した中央アジア諸国だが、「一帯一路」構想を進める中国の巨大経済圏に取り込まれつつある具体的実情が伝わってくる。今は蜜月を演じている中露両国。

 だが、中国に遅れをとったロシアの焦りは否めない。カザフ、ベラルーシとの関税同盟は、今年5月までにキルギスなどを加えて「ユーラシア経済同盟」発足へと対抗して動き出した。

 そこに安倍首相の訪問外遊。連載ルポ(23日付)で中央アジア・コーカサス研究所所長の田中哲二氏は「(これらの国々が『親日的』であれば)上海協力機構の枠内でロシアないし中国が日本に対し厳しい動きに出ようとした時にある程度の抑止力が期待できる」と長い目の援助、交流を語る。