今年のノーベル文学賞は、ベラルーシの作家…


 今年のノーベル文学賞は、ベラルーシの作家、スベトラーナ・アレクシエービッチ氏(67)の受賞が決まった。初期作品「戦争は女の顔をしていない」は、第2次世界大戦に従軍した女性を描いたものという。「現代の苦悩と勇気を多角的かつ記憶に残るように表現した」と評価された。

 日本の村上春樹氏は、今年も受賞を逃した。ここ数年「今年こそは」と期待して発表を待つということが続いている。しかし、春樹ファンはそれほど落胆した様子も見られない。

 その理由には、そのうち必ず受賞するという確信を持っていることがあるようだ。そしてそれ以上に、作品が世界の40以上の言語に翻訳され、若い世代の圧倒的な支持を得ており、それがすでにノーベル賞以上の勲章になっていることがある。

 中央アジアのウズベキスタンで日本語を学ぶ学生たちと話した時も、ハルキ・ムラカミ人気は絶大だった。

 ノーベル賞作家といえど、近年は幅広い読者を持つとは限らなくなっている。日本人でも川端康成は多くの読者がいるが、1994年受賞の大江健三郎氏は今ではそれほど読まれる作家ではない。

 ノーベル文学賞には、小説としての面白さや文学性以上に、人類的なテーマや人道、社会問題の提起、メッセージ性を重要視する傾向がある。村上氏が選ばれれば、珍しく世界の若者の支持を得た作家の受賞となるが、それはまた来年以降の楽しみに取っておくことにしよう。