地球からの無人補給機「こうのとり」5号機…
地球からの無人補給機「こうのとり」5号機は、国際宇宙ステーション(ISS)に向け飛行を続けており、今夜にはISSに接近する予定だ。
そのこうのとりを、ISSに滞在中の宇宙飛行士・油井亀美也さんが、地上の若田光一さんらと協力してロボットアームでしっかり捉えることになっている。今回運ばれる物資は水や食料、実験・観測装置など約5・5㌧。
中には、宇宙の質量の約4分の1を占めるとされる正体不明の「暗黒物質」発見を目指す装置もある。こうのとりは、そのあとで不用になったものを回収して離脱。運搬の役目を終え、大気圏に再突入して燃え尽きる。
地球と宇宙空間に浮かぶISSの間で、あたかも故郷の親元から異郷の地で働いている息子へ宅急便が届けられるように日用品の搬送が行われている。宇宙を人類の営為の場にしようとする科学者の熱意と想像力に目を見張る思いだ。
ISSは日本のほか米国、ロシア、欧州など15カ国が参加する国際プロジェクト。長期滞在する宇宙飛行士は原則的に米国、ロシア各3人だが、このところ日本人の活躍が目立っている。
政府の宇宙開発の長期ビジョンに「宇宙に地上の国境線を持ち込むことの不合理性が顕在化し、主権国家から独立した国際宇宙機構が誕生する」(『21世紀の科学技術の展望』平成12年科学技術庁編)とある。宇宙の一角の営みに人類の夢を重ねたい。