「医者は病気の話はするけれど、病気に…
「医者は病気の話はするけれど、病気にならない方法はあまり話してくれない。それはおかしい」――都内で開かれたNPO法人日本綜合医学会(渡邊昌会長)主催の講演会で、こんな意見が出た。
膨れ上がる国民の医療費(約39兆円)を抑制するための施策の柱の一つに予防医療の実施がある。ところが、医者は病気の治療はするが、予防のための医療を学んでいないから手をつけないという。なるほど、と思う。
同医学会は、医師や薬剤師ら医療関係者を中心に構成され「正しい食によって疾病を予防し、健康をつくり維持すること」を目指している。「食養」という考え方だ。
例えば、アルツハイマー病。この病気は20~25年かけ、脳が老化して発病するので、遅くても50代から予防医療に取り組むべきというのが定説。しかしそれだけの期間をかけ、予防に徹するという診療形態は今の日本ではほとんどないという。
これに対し、食養生を中心に医療を絡め、心身管理を地道に行い、アルツハイマー病を含む生活習慣病などの予防と発病の抑制を追究。また一般の人に対し「食養教室」を開き、日本型食生活(和食)の啓蒙(けいもう)も続けている。
一方、予防医療のための共同大学院が2016年4月に千葉大学、金沢大学、長崎大学によって始められる。「先進予防医学共同専攻」が設置され、3大学の強みを組み合わせたカリキュラムが導入される予定だ。こちらも期待したい。