「明るさの銀杏黄葉を夕景に」(稲畑汀子)。…
「明るさの銀杏黄葉を夕景に」(稲畑汀子)。昨日の小紙で、国営昭和記念公園(東京都立川市・昭島市)のイチョウ並木の写真が掲載された。そろそろ東京都下でも、見頃を迎えようとしている。
よく知られているのは明治神宮外苑のイチョウ並木。その見頃に合わせて「第17回神宮外苑いちょう祭り」が16日から12月9日まで開催される。都会の中で扇形のイチョウの葉が黄色に輝く光景は、ひときわ幻想的で絵画のように印象的だ。
イチョウの原産地は中国という説が有力で、中国では主に仏教寺院に植えられていたために、日本へは仏教の伝来とともに移入されたようだ。今でもイチョウの大樹を寺院で見かけることが少なくない。
もっとも、イチョウは火災に強い性質があるので、仏像などを守る目的もあったのかもしれない。「火事と喧嘩は江戸の華」と言われた江戸時代は、イチョウは火除け地に盛んに植えられた。
街路樹として選ばれたのは、やはり黄葉の美しさや剪定(せんてい)に強いことなどの特性から。イチョウの次は、モミジの紅葉が目を楽しませる季節となる。四季にはそれぞれの美しさがあるが、秋の風景は特に味わい深い。
中でも、豪華な刺繍(ししゅう)をした織物にたとえる「錦繍(きんしゅう)の山々」という言葉があるほど、紅葉は秋の華である。この紅葉を見るために海外から多くの観光客が訪れるという話を聞く。日本人の一人として嬉しい限りである。