「開運!なんでも鑑定団」(テレビ東京)と…


 「開運!なんでも鑑定団」(テレビ東京)という番組を、再放送も含めて毎週見ている。20年以上続く人気番組だ。面白さは「落差」にある。値切って400万円で買った陶芸作品が1万円と鑑定される。「400分の1」の現実に、会場でもテレビの前でも衝撃が走る。

 「作品を売った古美術商は、いくらで仕入れたのだろう」と考える。300万円ぐらいであれば見る目がなかったのだし、1万円であれば客を騙したことになる。売る側も、客が「鑑定団」に持ち込むとは予想もしていなかったかもしれない。

 逆に、1万円で買った物が数百万円だったケースもある。物置の汚い包みの中に捨てられたように置かれていた掛け軸に相当の値が付くこともある。「掘り出し物」だが、実際はそんなケースは稀だ。どちらにしても、作品の価値は金額で示される。分かりやすくもあり、駆け引きがなされやすい世界でもある。

 考えにくいことだが、「鑑定団」が間違える可能性もある。単純なミスだけではなく、作品の将来での評価を予測できないこともあるからだ。

 ゴッホの作品は生前に1点だけ売れたと聞く。買ったのは一般客ではなく、親戚筋だったという。当時の美術市場がゴッホを全く評価していなかった証拠だ。

 評価を間違える可能性を常にはらむのが、あらゆる芸術作品の鑑定だと言える。その意味で、これからも長く存続してほしい番組だ。