今年は、民主主義の歴史上最も重要な文書と…


 今年は、民主主義の歴史上最も重要な文書と言われる大憲章(マグナカルタ)制定800年に当たる。英国では15日、エリザベス女王やキャメロン首相が出席し、ジョン王が大憲章に署名したロンドン近郊のラニーミードで記念式典が開かれた。

 ここは気流子も一度訪れたことがある。テムズ川に近い美しい丘陵の上に記念碑が建っていた。なぜこんな所でと思ったが、国王軍の拠点ウィンザーと諸侯軍が集結したステインズの中間地点に当たるらしい。

 マグナカルタは国王軍と諸侯軍の講和条約的な側面を持つが、国王の権利を制限し、貴族の権利を認めさせた文書は、米国憲法や世界人権宣言にも影響を与えた。

 マグナカルタ制定から17年後の1232年、日本では鎌倉幕府によって御成敗式目(貞永式目)が定められた。同じ頃に、ユーラシア大陸の西と東の島国で、その後の社会発展につながった法律が作られたのは面白い。

 もちろん貞永式目は武家社会ルールを定めたもので、近代的な民主主義とは直接結び付くものではない。しかし、当時の新興階級である武家が、律令や公家法から独立した独自の法律を持った意味は大きい。

 貞永式目は「権利の上に眠る者は、これを保護せず」という法原則や、女性のさまざまな権利を認めていたという点で、日本の民法も影響を受けたという有力な説がある。17年後の制定800年には、世界法制史上における評価を期待したい。