小笠原諸島海域では昨年9月中旬からサンゴの…


 小笠原諸島海域では昨年9月中旬からサンゴの密漁に来た中国漁船とみられる船団が出没し、同10~11月には一時200隻超が確認された。

 密漁団は取り締まりの手薄な海域で集中的に操業し、海上保安庁の巡視船が追い払うと、他所へ移動するといういたちごっこが続いた。地元の漁民だけでなく、あきれ果て、切歯扼腕した国民も少なくなかろう。

 警視庁は先日、小笠原諸島の父島で来月2日に、外国人の不法上陸を想定した海上保安庁との初の合同対処訓練を実施すると発表した。島内捜索で発見した不審者を現行犯逮捕し、約1000キロ離れた本土まで移送するという想定。

 警視庁はその間、第3管区海上保安本部に協力してもらい海保の航空機とヘリコプターを使うという段取り。陸と海の警備当局同士の訓練はサンゴ密漁の件がきっかけだが、不法上陸の可能性は、何もさんご密漁者に限らない。

 今回、警視庁と海上保安庁の連携の訓練に、東京都と水産庁も参加する予定だという。関係省庁なども警備当局間の連携を強化し、離島への不法上陸事件などの不測の事態に備えるという決意を表してほしい。

 海洋における法秩序やルールを無視したり、軽んじたりする国や集団に対しては、あらゆる機会をとらえ、その動きをけん制しておくべきだ。平時から自衛隊や海上保安庁、各関係省庁との訓練を今後、定期的なイベントとして定着させることも国民を安心させる。